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白血球減少

健診など何かの機会で血液検査を受けた時に“白血球減少”と指摘されることがあります。「健診で数年前から言われていて、今回家族に促されたので受診した」という方も時々いらっしゃいます。白血球は病原体などから体を守る細胞で、好中球、リンパ球など複数の種類の細胞の総称です。

白血球が少ない… 何が問題?

白血球減少を指摘された時に注意するのは、主に次の2点です。

  1. 白血球減少をきたす病気があるかどうか?
  2. 感染しやすくなるリスクがあるかどうか?
白血球減少をきたす病気

ウイルス感染症、最近飲み始めた薬が原因で白血球が減ることがあります。ウイルス感染症の場合、発熱をきたし白血球が減少しますが、症状の改善とともに回復し、その後は問題となりません。これまで白血球減少を指摘されたことがなかった方が、検査を受けて唐突に指摘されたような場合は、最近飲み始めた薬がないか考えてみてください。

慢性的に白血球減少が続いている場合は、次の原因がないか評価が必要です。

①ビタミンB12、葉酸の欠乏

②自己免疫性疾患

③造血異常(骨髄異形成症候群再生不良性貧血、悪性リンパ腫など)

④慢性特発性好中球減少症、自己免疫性好中球減少症

①、②は血液検査でスクリーニングができます。①に関しては、胃腸に関連する病気がなく、通常の食生活を送れている方においては、通常不足することはないと思われます。また、①の場合は白血球減少が先行することは少なく、通常貧血として現れます(巨赤芽球性貧血)。②に関しても、無症状で白血球減少だけが先行することは少ないです。

③の可能性があるかどうかは、慎重な判断が必要となります。ただ、造血異常の場合は白血球だけが減少していることは少なく、貧血や血小板減少といった他の血液異常をある程度伴っています。3ヶ月〜半年ほどで比較的速く進むこともありますが、数年単位でゆっくり進行することもあり、所見が軽い場合は数年の経過を見なければ判断が難しいこともあります。また、手がかりをつかむ簡単な検査方法がほとんどないことも難点です。(造血機能を調べる検査には骨髄検査がありますが、初期の段階では所見が検出できない可能性が高いためお勧めできません。)

④白血球、特に好中球が減少している場合は、慢性特発性好中球減少症、自己免疫性好中球減少症の可能性が考えられます。どちらも原因は不明ですが、白血球の成長過程において、好中球になる前の段階に何らかの障壁ができて好中球がうまく造られないというものです。自己免疫性好中球減少症の場合は、体内で好中球に対する抗体が生じています。成人の場合は何らかの持病(B型肝炎や血管炎などの炎症性疾患)との関連が報告されていますが、小児の場合は健康な乳児に見られ、5歳頃までに多くが自然回復するようです。好中球に対する抗体(抗好中球抗体)の検査は保険は非適応であり、技術的にも難しく、確定のための検査は困難です。

当院では、白血球減少に対してはまず再検をさせていただきます。健診で異常であったとしても、再検すると正常範囲ということも少なくありません。再検でも白血球減少があり、慢性的と考えられる場合においては、上記①〜④の可能性を評価させていただきます。貧血や血小板の異常がなく、白血球の内訳にも偏りがなく、軽度の白血球減少だけがあまり変化なく続いている場合は、多くは“体質的”と考えられ問題ないと思われます。

原因不明の白血球減少が一定以上続いている場合(2000/μl以下など)、白血球以外の血液細胞にも異常が見られる場合は、一度骨髄検査をお勧めします。

白血球が少ないと感染に要注意??

白血球は病原体などから体を守る細胞です。白血球の数値が低いだけでは無症状ですが、病原体の侵入を白血球が防ぎきれず感染を起こした場合は発熱を起こします。白血球のうち、好中球と呼ばれる細胞が細菌(ばい菌)に対抗するメインの細胞であり、好中球が減少している場合は感染症のリスクが通常より高いということになります。好中球1500/μl未満を好中球減少と呼び、特に500/μl未満は高度好中球減少と位置付けられます。好中球減少とされた方は、感染症リスクについてご理解いただければと思います。発熱した場合(37.5〜38.0℃以上)は、できるだけ早く受診をしてください。ただ、慢性的な好中球減少の場合は、実際には発熱なく普通の生活を送っている方も多いです。過度に心配されなくてもよいと思います。

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