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輸血

造血機能が低下し貧血が進むと、倦怠感や疲れやすさ、動いた時の息切れなど、貧血による症状が徐々に自覚されることがあります。貧血は慢性的な低酸素状態を意味し、自覚する症状がなくても、慢性的な身体の負担となっています。心臓の弱い方は、中等度以上の貧血が続くと心不全を引き起こすこともあります。

血小板減少が進むと、ぶつけた覚えがないのにアザができやすくなったり、ちょっとぶつけただけで大きなアザになってしまうことがあります。さらに怖いのは、転んで頭を打った時の頭蓋内出血や、気づかないうちに発生する消化管出血です。

これらの症状の改善、リスクの軽減のために、進行した貧血には赤血球の輸血、血小板減少には血小板の輸血が勧められます。 ※白血球減少に対しては輸血ではなく白血球の造血剤が使われます(適応がある場合のみ)。

輸血が勧められる目安は、当院ではヘモグロビン 7.0〜7.5以下、血小板値1.0〜2.0万以下と考えております。検査値の他、ご本人の症状や日常での活動量、経過、既にお持ちの疾患、内服薬などを考慮してご提案いたします。

輸血をするとヘモグロビン、血小板の値は上昇します。しかし補充された赤血球、血小板はいずれ消費されてなくなってしまうため、進行した造血障害の方は基本的に一定間隔で輸血を続ける必要があります。間隔は月1回程度、2週間に1回、1週間に1回、1週間に2回などさまざまです。

対象となる疾患:骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、非寛解の急性白血病、骨髄線維症など

 

当院での輸血の流れ

<診察で輸血が必要と判断された場合>

・輸血同意書をご確認の上、サインを頂きます

・採血があります(輸血製剤に対する反応性、既存の感染症の有無などを調べます)

・輸血の予定日時を決めます(予約制となります)

・後日、輸血日にご来院頂きます

<輸血日当日>

赤血球輸血の場合

ご来院後、採血があります(輸血製剤との相性検査を行いますので、1時間程度お待ち頂きます) →処置室ベッドで輸血開始 →開始後、何度か血圧測定、症状お伺いをさせて頂きます →1時間〜1時間半で輸血終了、ご帰宅可能です

血小板輸血の場合

→処置室ベッドで輸血開始 →開始後、何度か血圧測定、症状チェックを行います →1時間〜1時間半で輸血終了、ご帰宅可能です ※血小板輸血でアレルギーが出やすい方は、輸血前にアレルギー薬の投薬を受けて頂くことがあります 

輸血の副作用

最も多い副作用はアレルギー反応で、輸血開始後、発熱や蕁麻疹、体の痒みが現れることがあります。頻度は赤血球輸血よりも血小板輸血で高く、1〜4%と言われます。抗アレルギー薬、ステロイド剤の注射で対応します。稀に呼吸困難や血圧低下を伴う重症アレルギーも報告されていますので、輸血中に症状変化があればすぐにお伝えください。

輸血製剤は十分な検査、処理を受けた上で提供されています。感染症についてはB型・C型・E型肝炎ウイルス、HIV、その他細菌、ウイルスの有無について検査されており、輸血製剤から感染症が移るリスクは極めて稀と言えます。製造過程で適切な処理がなされているため、他人の成分に対する拒否反応も近年はほとんど発生していません。最も重篤な副作用は血液型ミスマッチによる溶血ですが、日本赤十字社、東京都保健医療局の指針に基づく安全管理体制に遵守した輸血の実施においては、通常は起こりえません。

当院では、2回の血液型二重確認、不規則抗体検査、クロスマッチ検査、輸血開始までの二重確認作業により、最大限安全に配慮した輸血療法を行います。しかしながら、予想困難な体内反応などにより輸血の副作用が生じることは全くゼロとは言えません。輸血中、輸血後1〜2日で症状変化がある場合はすぐにお伝えください。

輸血後鉄過剰症

長期に渡って赤血球輸血を受けている方では、輸血製剤の赤血球に含まれる鉄成分が体内に蓄積しやすくなります。これを輸血後鉄過剰症といい、血液検査でフェリチン値を測定することで評価できます。鉄は内臓に蓄積し、心臓や肝臓に蓄積すると心機能、肝機能に障害をきたし、その他造血や動脈硬化に影響することもあります。このため、持続的にフェリチンが1000 μg/ml以上の方においては、体外へ鉄の排泄を促すキレート剤が検討されます。1日1回の内服薬となりますが、吐き気や下痢、便秘、肝機能障害、腎機能障害に注意が必要です。赤血球輸血の回数が20回を超え、今後も輸血が続く方は注意していきましょう。

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