再生不良性貧血
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骨髄の造血幹細胞が自身のリンパ球による攻撃を受け、減少してしまい、白血球、赤血球、血小板の減少をきたす病気です。骨髄内では全種類、特に血小板系の造血細胞が減少しており、(1) 白血球のうち好中球と呼ばれる細胞が1500/ul未満、(2) Hb 10.0 g/dL未満、(3) 血小板 10万/ul未満、という3つの基準のうち2つ以上が該当します。診断には骨髄穿刺、骨髄生検が行われますが、診断の決め手となる所見がないため、他の病気としっかり鑑別する必要があります。骨髄造血組織の減少の確認には、椎体(背骨)や腸骨(骨盤)のMRI検査も有用です。
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厚生労働省による重症度(ステージ)基準があり、5段階に分けられます。
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血液細胞の減少には自己免疫が関与しているため、治療には免疫抑制剤(シクロスポリン内服、抗胸腺免疫グロブリン点滴)が使われます。自己免疫の関与が低いと思われる場合、また標準的治療で治療効果が乏しい場合は、男性ホルモン剤(酢酸メテノロン)が使われることがあります。
- ステージ1, 2aは輸血がまだ不要な段階です。この場合は免疫抑制剤(シクロスポリン)の内服から始めます。シクロスポリンは血液中の薬剤濃度に個人差が出やすいお薬であり、濃度が高いと腎臓に負担をきたします。このため、採血で血中濃度を確認しながらお薬の量を調節します。治療効果が良好に得られ経過が安定している場合は、徐々にお薬を減らしていき、中止できることもあります。
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ステージ2b以上では、入院でシクロスポリン内服に加え、抗胸腺免疫グロブリンと呼ばれる強力な免疫抑制作用を持つ薬剤の点滴も併用されます。必要に応じ、TPO受容体アゴニストと呼ばれるお薬(血小板産生を刺激し、血小板細胞の成長を促します)も使われます。40歳未満と若いステージ2b以上の患者さんにおいては、適切なドナーがいて適格性が診断されれば骨髄移植も検討されます。
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国が定めた難病に該当します。お住まいの自治体で手続きを頂くことで、該当疾患に関する診療において医療費助成が受けられます。
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発作性夜間ヘモグロビン尿症、骨髄異形成症候群といった疾患と関連することがあり、経過中これらの疾患に変わっていくことがあります。
< 再生不良性貧血ってどんな病気?(イメージ) >