移植後のワクチン接種
造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植)では、元々体に備わっていた免疫機能が移植後低下し、ほとんど失われてしまうこともあります。このため移植後一定の日数が経過し、体調が落ち着いたところで、各種のワクチン接種により感染症に対する免疫力をつけていく必要があります。
大変な治療の後で複数のワクチンを受けていくのは大変ですが、うまく予定を立てて、無事に全てのワクチン接種を完了するお手伝いをさせていただきます。下図はワクチン接種スケジュールの大まかな概要になります。実際は体調やご予定を伺った上で、個別に設定させていただきます。ご希望の方は、主治医の先生からの診療情報提供書(紹介状)をお持ちいただき、できるだけご予約の上ご来院いただけますと幸いです。
★注意点
・いずれのワクチン接種も、慢性GVHDの悪化がないことが条件となります。
・不活化ワクチン接種後、特に問題がなければ、次の不活化ワクチンは1週間後以降に接種できます。
・生ワクチン接種後は、次の不活化ワクチン、生ワクチンとも4週間空ける必要があります。
・不活化ワクチンの接種は、慢性GVHDの悪化がなく全体的に経過良好であれば、移植後1年未満(ただし6ヶ月以上)での接種も可能です。
・生ワクチンの接種は、慢性GVHDの悪化がないこと、抗がん剤の投与がないこと、免疫抑制剤の投与がないこと、抗CD20抗体(リツキシマブなど)の最終投与から6ヶ月以上経過していることが条件となります。
●ワクチン料金
ワクチン費用は自己負担となり、当院では下記料金で対応させていただいております(接種回数が複数回のワクチンにおいては、1回あたりの料金となります)。条件によっては一部公費負担が適用となることがあります。料金表の下の(※)をご参照ください。
(※1)当院で公費負担が適用となる場合は限られていますが、以下の場合において自己負担が一部あるいは全額免除となります。その他、区からの予診票があること、過去に同一の費用助成を受けたことがないこと、などの条件もありますので、詳しくはお問合せください。
- 肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス):東京23区内に住民登録がある65歳の方
- 帯状疱疹ワクチン:50歳以上の江東区民の方
- MRワクチン:江東区民において、①19〜49歳の妊娠を予定または希望している女性、②①の同居者(19歳以上)、③風疹抗体価が低い妊婦の同居者(19歳以上)のいずれかにおいて風疹抗体検査を受け、抗体価が一定基準以下の方
(※2)「骨髄移植等の医療行為により免疫を消失した方への予防接種再接種費用助成」多くの自治体で対応していますが、再接種日に年齢20歳未満などの条件があります。
●ワクチン接種後の注意事項
当日の注意 | 理由 | |
入浴 | 入浴できます(接種後1時間空けましょう) | 入浴しても注射痕に菌が入る心配はありません |
運動 | 激しい運動は避けましょう | 万一副反応が出たときに、鑑別が難しくなる可能性があります |
飲酒 | 過度の飲酒は避けましょう | 万一副反応が出たときに、鑑別が難しくなる可能性があります |
抜歯、手術などの治療 |
不活化ワクチンは2週間、生ワクチンは1ヶ月空けてからが望ましいとされます | 万一体調変化をきたしたときに、鑑別が難しくなる可能性があります |