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コレステロールが高い

健診でコレステロールや中性脂肪が高いと言われたとき、いいことではないのはわかるものの、どのくらい問題なのか、どうすればいいのかわからない方は少なくないのではないでしょうか。

脂質の異常

動脈硬化のリスクとなるコレステロールや中性脂肪の数値異常を脂質異常症と呼びます。主に①LDLコレステロールが高い、②中性脂肪が高い、③HDLコレステロールが低い、場合に問題となります。なぜ問題となるかというと、これらが長い期間続いていると全身の血管の壁に溜まって血管が徐々に硬くなり(動脈硬化)、将来的に重要血管を詰まらせることがあるからです。心臓の周りの血管が詰まる心筋梗塞、脳の血管が詰まる脳梗塞が起きると、最悪の場合命に関わったり、手足の麻痺を残したりと重大な結果になることがあります。

これらの基準値は以下の通りです。

  略語 異常の基準

異常の基準

(健診)*注

LDLコレステロール(悪玉)

LDL-C 140以上 120以上
中性脂肪 TG 150以上  
HDLコレステロール(善玉) HDL-C 40未満  

non-HDLコレステロール

(総コレステロール値からHDLコレステロール値を引いたもの)

non-HDL-C 170以上 150以上

*注:健診では、生活習慣病を早めに発見し注意喚起するという目的上、やや厳しい判定基準が採用されています。

一般的な基準値はこのように設定されていますが、万人においてこの基準が絶対というわけではありません。脂質管理の目標は、動脈硬化をできるだけ予防し、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを極力抑え、健康な体で過ごせる時間をできるだけ長くするというものです。動脈硬化には複数の原因が関わっており、脂質異常症だけでなく、下図のような年齢や性別、血圧なども関係しています。脂質異常症以外にも原因がある場合は、リスクが足し算されることとなります。LDLコレステロールにおいては、リスクをポイントとして合計し、合計ポイント数と年代から、目標とする数値を知ることができます。

LDLコレステロールの目標値

注1)40〜79歳の方を前提としています。

注2)過去に心筋梗塞、狭心症、脳梗塞(ラクナ梗塞を除くアテローム血栓性脳梗塞)を発症していないことが前提となります。(これらの既往がある方は、さらなる発症を予防するためにより厳しい目標値が適応となります)

注3)家族性高コレステロール血症の場合は別指針による治療方針となります。

前提となる青字の注意点をご確認ください。該当しない場合は(1)〜(4)の手順に沿って、自分の目標とするべきLDLコレステロールの数値を確認してみましょう。

(1) まず、糖尿病、腎機能低下(慢性腎臓病)、末梢動脈疾患がある場合は高リスク(→(4)へ)となります。

これらがない場合、性別、血圧の数値、LDLコレステロールの数値、糖代謝異常の有無、喫煙の有無、HDLコレステロールの数値それぞれにおいて、該当する点数を足し算します。この合計ポイントは、向こう10年間における動脈硬化による病気の発症率を予測するものです(久山町スコア)。

(2) 6つの点数を合計したポイント、年代から、向こう10年間における動脈硬化による病気の発症率(%)を推計します。

(3) 発症率に従い、該当するリスクの高さを確認します。(低・中・高のいずれか)

発症率 2%未満 2〜10%未満 10%以上
リスク評価 低リスク 中リスク 高リスク

(4) リスク別のLDLコレステロール目標値は下図の通りです。これを目安に管理をしていきます。

リスク 低リスク 中リスク 高リスク
LDL-C目標値 160未満 140未満

120未満

(*)の場合は100未満

(*) 糖尿病があり、関連する合併症(網膜症、腎症、神経障害)、末梢動脈疾患、喫煙ありのとき

このように、LDLコレステロールの目標値はお持ちのリスクによって異なり、リスクが最も低い方の目標値は160未満、リスクが最も高い方(過去に心筋梗塞、血栓性脳梗塞の病気をした場合)の目標値は70未満、と大きな違いがあります。基準値内でももう少し下げないといけない場合もあれば、正常値を超えていても許容範囲とされる場合もあるのです。

脂質を下げるためには

飲めば数値が下がる薬はありますが、できれば薬は飲みたくないという方も多いでしょう。実際、まずは生活習慣を見直すことが勧められます。3〜6ヶ月を目安にやってみて数値を再検査し、改善があれば継続、改善が見られなければ薬の内服を考えることとなります。見直すべき生活習慣は次の通りです。

◯禁煙

◯体重管理(肥満度の指数=BMI 25未満、できれば22が理想)

◯食事

・摂り過ぎに注意するもの…肉の脂身、卵、バター、チーズ、卵、生クリーム、チョコレート

 ※中性脂肪が高い場合は、炭水化物、甘いものにも注意

・積極的に摂り入れるもの…魚、野菜、海藻、大豆、玄米

◯適度な飲酒量を守る(1日1合以下)

◯運動;有酸素運動を毎日30分以上

低HDLコレステロールは薬で治療することはできないため、対処法は上記のような生活習慣の改善が中心となります。マーガリンやファットスプレッド、揚げ物の摂りすぎに注意しましょう。中性脂肪やLDLコレステロールなどの数値が上がらないように注意します。

上述の“向こう10年間における動脈硬化による病気の発症率”は、40代の方は一般的に低リスクとなります。これはあくまで向こう10年間の発症率を予想しており、一生涯に渡る予測システムではありません。今から向こう10年間は心配ないかもしれませんが、年齢を重ねるにつれ動脈硬化は進行していきます。10年後、20年後のリスクは今と同じというわけにはいきません。10年後、20年後の自分のために、今できることをやっていくことが勧められます。

まとめ
脂質異常症は無症状であり、1〜2回の検査値異常が問題となるわけではなく、長年持続することが将来のリスクとなります(動脈硬化に関連した大病のリスク)。10年後、20年後の自分のために、日々の生活でできることをやっていきましょう。
 
当院の診療方針
コレステロール(総コレステロール、LDLコレステロール)、中性脂肪の数値は、採血後40分程度で結果が出ます。健診の再検査、以前から高い方などご相談ください。食生活の見直しで栄養士さんへの相談を希望される場合は、近隣病院の栄養食事指導のご案内も可能です。
 
診察予約をご希望の方はこちら 👉診察予約 📞0358589628
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