溶血性貧血
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赤血球が何らかの理由で壊されやすくなり(=溶血)、結果として貧血になってしまう病態です。壊れた赤血球からヘモグロビンが放出され、ヘモグロビンが分解されて生じる間接ビリルビンが血液中に増加し、ビリルビン値の上昇、また程度が強いと黄疸が見られるようになります。
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溶血性貧血の仕組みは主に次の5通りがあります。
1)赤血球に反応してしまう抗体蛋白ができて、これと反応した赤血球が壊されてしまう。(自己免疫性溶血性貧血、薬剤性免疫性溶血性貧血)
2)造血幹細胞に発生した異常により、これに由来する異常赤血球が血液中の免疫系蛋白の攻撃を受け壊されてしまう。(発作性夜間ヘモグロビン尿症)
3)血管内の変化により、衝突して壊れてしまう。(人工弁や人工血管がある、播種性血管内凝固、血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症症候群、血栓性微小血管炎)
4)元々古くなった赤血球を処分する場所である脾臓の機能が活性化し、赤血球の破壊がひどく進んでしまう。(脾機能亢進症、血球貪食症候群)
5)遺伝的に赤血球の構造異常をきたし、赤血球が壊れやすくなる。(サラセミア、遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球症など) ※比較的まれ
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頻度的には1の自己免疫性溶血性貧血が多く、急性発症の際の迅速な治療導入、治療薬の調整、再燃がないかといった経過観察など、長期的な管理が必要となることが多いです。
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2は抗体薬による治療、3・4は原因となる病態の管理や適宜輸血、5は適宜輸血や脾臓の摘出が対処法となります。