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出血症状

体の出血症状は、出血した場所から次の3種類に分かれます。

  • 皮膚の浅い場所に生じる…紫斑
  • 粘膜に生じる…粘膜出血
  • 筋肉や関節内など、皮膚より深い場所に生じる…深部出血

紫斑は、ぶつけた時にあざができるなど、誰もが日常的に体験している症状と思います。粘膜出血は、鼻血や、白目が真っ赤に見えるような結膜下出血は時々遭遇します。それ以外に、歯ぐきや口の中からの出血、胃や腸管からの消化管出血、血尿、性器出血といった症状は、何らかの原因が存在すると考えられます。深部出血は一般的には稀で、激しい外力を受けたときや、血友病患者さんにおいて見られます。

血液をさらさらにする薬=抗血小板薬(アスピリンなど)、抗凝固薬を服用中の方は、紫斑や粘膜出血が起こりやすくなるため注意が必要です。

出血症状で最も怖いのは、体の内部ですぐに止血処置がしにくく、重篤になりやすい脳や消化管の出血です。

血を止めるメカニズム

当たり前のことのようですが、出血というのは血管に傷ができて、血管外に血液が流れ出した状態です。大血管は血液量が多いため大出血となりえますが、日常的に経験する出血症状は毛細血管からの出血です。

血管が傷ついて出血すると、速やかに血を止める必要がありますが、このとき主に働くのが血小板、そして血液中に存在する凝固因子と呼ばれる止血蛋白です。血小板は血管の傷にくっつき、固まって止血栓を作ります。そのあと凝固因子が網状に止血栓を固め、よりしっかりと止血を安定させます。よくできていることに、止血が完了すると不要となった止血栓を除去するため、今度は“線溶系”と飛ばれるシステムが作動し、止血栓を溶かします。

血液検査で止血機能のスクリーニングをするときは、血小板の数、凝固因子のスクリーニング検査であるプロトロンビン時間 (PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT)が代表的な検査です。強い紫斑、粘膜出血がしばしば見られ、特に理由や原因が見当たらない場合は、診察の上でこのような検査が検討されます。

紫斑

皮膚の浅いところに生じた出血、いわゆる“あざ”です。厳密には大きさが3mm以下のものを指します。3mm以下のものは点状出血と呼ばれます。直後は赤紫色ですが、徐々に吸収されていき青緑色、茶褐色、黄色と色が変わり、日にちを経て消えます。

ぶつけた覚えがないのに大きな紫斑が繰り返しできる、紫斑がたくさんあるという場合は注意が必要ですが、特に問題とならない紫斑に老人性紫斑と単純性紫斑があります。老人性紫斑は加齢によって皮下組織が薄くなり、毛細血管の壁が弱くなることで生じます。注意していても全く気づかない程度の皮膚刺激でも紫斑が生じてしまい、時に数cm以上、複数見られることもあります。よく動かす体の部位である腕や手の甲に見られます。ご本人はぶつけた覚えがないため予防は総じて難しいですが、あえてお勧めするなら皮膚の保湿ケアをお勧めしています。単純性紫斑は主に女性に見られ、ぶつけた覚えがないのに足、もしくは手足に紫斑が見られるものの、血液異常や関連する病気はなく、体に何ら問題はありません。今まで見たことのないアザを見つけて心配になる方もいらっしゃいますが、原因は不明です。その他、ステロイドを長期間内服している方は、血管壁が弱くなり紫斑が生じやすくなることがあります。

その他、色素性紫斑病と呼ばれ、足、もしくは手足に紫斑や点状出血が慢性的に出ては消えを繰り返すこともあります。原因ははっきりしませんが、静脈のうっ滞、その他運動、飲酒、体内ホルモンの血管系への影響などが関与しているとする説もあります。慢性経過ではありますが、いずれは症状が改善する方が過半数のようです [参考文献;J Am Acad Dermatol. 1991;25(4):642.]。“紫斑”という名前ではありますが、日常生活に何ら支障をきたすことはなく、将来の体の心配も不要ですから、病気とは言えないように思われます。

これら老人性紫斑、単純性紫斑、色素性紫斑病は、血液の異常ではなく血管壁の変化によるものです。当院にもアザが気になって来院される患者様がおられ、念のため血液検査を勧めさせていただいております。異常がなければ特に心配はいりません。

点状出血は赤ペンの先でたくさん点を書いたような見た目であり、血小板数が急に減少した際に手足(特に膝下、肘より先)に見られやすい症状です。点状出血や、気になる紫斑が見られる場合はどうぞご相談ください。

    

粘膜出血

出血箇所が1ヶ所に限られている場合は出血部自体の問題が疑われますので、まずはその場所における異常がないかを調べます。

粘膜に限らず出血症状が複数の箇所に見られる場合は、止血機能の異常や全身的な病気が考えられますので、早急な精査が必要です。この場合、粘膜出血に続いて脳出血や消化管出血を生じる危険性がありますので注意が必要です。

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