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意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)

MGUS ; Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance (エムガス)

  • 多発性骨髄腫と同じような異常な形質細胞が少数存在しますが、異常な抗体蛋白を作っているだけで体には影響のない状態です。腫瘍性の免疫グロブリンが血液・尿中に増加します。健診などの血液検査でMピークや高蛋白血症(総蛋白値の上昇)を指摘されたり、何かのきっかけで受けた血液検査で1種類の免疫グロブリン値が上昇していることを契機に診断されることが多いです。
  • 形質細胞は抗体(免疫グロブリン)を作る免疫細胞であり、免疫グロブリンにはIgG, IgA, IgM, IgD, IgEの5種類があります。腫瘍性の細胞が作る腫瘍性の免疫グロブリンは、モノクローナル蛋白(略してM蛋白)と呼ばれます。M蛋白にはIgG, IgA, IgM, IgD, IgEの5種類の他、免疫グロブリンの一部だけから成るベンスジョーンズ蛋白 (Bence Jone Protein ; BJP) があります。通常MGUSで検出されるM蛋白はIgG, IgA, IgM, BJPのいずれかです。IgG, IgA, IgMは血液中に、BJPは尿中に存在します。血液検査、尿検査で異常蛋白の存在が疑われるときは定性検査(M蛋白が陽性か陰性か)を行い、それぞれの数値が高いかどうかを確認します。

  M蛋白の種類

 

  • なお、IgMは形質細胞ではなくBリンパ球が作ります。IgM型のM蛋白が見られるときは、形質細胞の異常ではなく、腫瘍性のBリンパ球が存在すると考えられます。ここではIgM型以外のMGUSについてご説明いたします。
  • M蛋白が実際に確認されたら、次の2点を確認します。

1) 体に影響があるか…血液検査、体調や症状に関する問診。状況により全身骨のCTや骨(背骨など)のMRI検査。

2) M蛋白を作っている異常細胞の確認…骨髄検査(腫瘍性形質細胞の存在確認、増殖していないかの確認)

※当院ではM蛋白が少なく無症状、他の血液検査異常がない場合は、患者様の負担を考え骨髄検査をはじめとする精査は保留とすることがございます。

< MGUSはどんな病気?(イメージ) >

  • 大きな変化なく経過することがほとんどですが、骨髄の形質細胞数や免疫グロブリン値が徐々に上昇し、骨髄腫の関連症状をきたして、多発性骨髄腫の診断に移行する可能性もあります(年に1%程度)。このため、年1〜2回の血液検査で経過観察をお勧めします。
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