抗がん剤
血液疾患の治療では、幅広く抗がん剤が使われます。抗がん剤は正式には抗悪性腫瘍薬と呼ばれ、抗がん剤を使った治療のことを化学療法と言います。抗がん剤が使われる血液疾患には、急性白血病、慢性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、真性多血症、本態性血小板血症など多くの疾患がありますが、これらで使われる抗がん剤、化学療法は、薬の特性、効き方、副作用、投与方法において全く異なることがあります。血液疾患の診断を受けて「これから抗がん剤で治療を始めます」と説明を受けると、まずは“抗がん剤”という言葉にショックを受けられるかと思いますが、まずはどのような注意が必要なのか、ご自身でもご理解いただくことがきっと治療を進める力になるのではないかと思います。
当院では院内で調剤が必要な抗がん剤、免疫調整薬による治療にはまだ対応できておりませんが、あまりにも数多く複雑な抗がん剤について、血液疾患の治療という観点からできるだけわかりやすくご説明したいと思います。
抗がん剤の種類
殺細胞性抗悪性腫瘍薬
細胞のDNA合成を邪魔したり、細胞の機能を障害したりしてがん細胞の細胞死をもたらします。幅広く効きますが、裏を返すとがん細胞以外の正常細胞にも影響してしまうため、副作用が強く現れやすいです。副作用には、自覚症状として現れるものと、検査所見上現れるものがあります。
自覚症状として現れるもの:吐き気、脱毛(毛根細胞のダメージによる)、下痢(腸粘膜のダメージによる)、手足の痺れ(神経への影響による)、便秘(自律神経への影響による)
※治療開始後に爪が生え際から黒く変色することがあり、心配される方がいらっしゃいます。爪の根元の細胞のダメージによるものですが、いずれ消えますので心配いりません。
検査所見で現れるもの:骨髄抑制(血液細胞のダメージによる)、肝機能障害(肝細胞のダメージによる)、腎機能障害(腎細胞のダメージによる)、心機能障害(心筋細胞のダメージによる)、間質性肺炎(薬剤による肺炎)
骨髄抑制とは、抗がん剤によって骨髄機能、すなわち造血機能にダメージを受け、血液細胞(=血球)が全体的に減少することを言います。抗がん剤というと、やはり吐き気、脱毛がいちばん先に気がかりかもしれませんが、医療者側が最も注意を払うのは骨髄抑制です。少し乱暴な表現になってしまいますが、吐き気、脱毛は命には関わりませんが、骨髄抑制は感染症、出血のリスクに直結し、程度によっては最悪の場合、命に関わりうるからです。もちろんそうならないように、抗がん剤治療においては、効果と副作用を天秤にかけた上で最大限リスクを避ける努力が大前提となります。そして感染症発症時は適切な抗生剤治療、出血リスクに対しては適切な輸血療法が行われます。
骨髄抑制の強さ、持続期間は、抗がん剤の投与量=治療強度と比例します。骨髄抑制は、抗がん剤の投与開始から平均的に1週間程度で現れ、その後自然回復します。強度が低い治療は白血球だけが少し減少し、1週間程度で自然回復します。強度が高い治療は3種類全ての血球が大きく減少し、回復まで3週間程度を要します。例えば、血液疾患の化学療法の中でも強いグループに入る急性白血病の化学療法は、室内への菌の流入をブロックする空調が敷かれた無菌室で行われ、治療中は感染予防のための抗生物質を内服し、貧血・血小板減少に対し複数回輸血をし、発熱時はすぐに検査と抗生剤治療を行うといった体制で行われます。最も強い治療に当たる造血幹細胞移植の際の化学療法では、別途用意した造血幹細胞を投与(移植)しなければ、1ヶ月経過しても血球は回復してきません。
骨髄抑制の強さの評価は、一般的に以下の分類が使われます(CTCAE)。
グレード1 軽症 |
グレード2 中等症 |
グレード3 重症 |
グレード4 最重症 |
|
白血球 | >3000 | 2000〜3000 | 1000〜2000 | <1000 |
好中球 | >1500 | 1000〜1500 | 500〜1000 | <500 |
貧血 (Hb) | >10.0 | 8.0〜10.0 | <8.0 | 緊急処置が必要 |
血小板減少 | >7.5万 | 5〜7.5万 | 2.5〜5万 | <2.5万 |
分子標的治療薬
I. 抗体製剤
(I-1) モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、がん細胞のみを標的として働きやっつける薬です。上記の抗がん剤が幅広く細胞を壊してしまうのとは異なり、モノクローナル抗体はがん細胞に出ている特定のアンテナのみにくっつくことにより、くっついた細胞のみを壊します。副作用ができるだけ少ない薬という点では、がん細胞だけにあって正常細胞にはないアンテナを標的とするのが理想的ですが、なかなかそうはいかないのが現実です。例えばB細胞性リンパ腫はがん細胞がBリンパ球に属するため、リツキシマブを投与すると正常なBリンパ球もやや影響を受け、多少の免疫能低下は避けられません。また、抗体製剤は製造の過程でマウス由来の蛋白が含まれるため、投与時にアレルギー反応を起こすことがあるのが特徴です。薬剤によりアレルギー反応の頻度は異なりますが、初めての投与、かつ投与中もしくは投与終了直後に現れるのがほとんどで、投与前にはアレルギー予防のお薬を使ってできるだけ症状が出ないようにします。
このような注意点がありますが、従来の抗がん剤のような吐き気や脱毛、倦怠感はなく、骨髄抑制もほとんど見られません。従来の抗がん剤より副作用が少なく、ご高齢の方でも比較的使いやすい薬といえます。治療効果も優れています。
注)以下、病名の右上にRRとついているのは、初回治療では使えず二次治療以降の場合に使えることを意味します。分子標的治療薬の適応には病名だけではなく条件が加わることがありますので、詳しくは担当の先生にご確認ください。
標的 | 薬剤名(一般名) | 薬剤名(商品名) | この薬が使える疾患 |
CD20 | リツキシマブ | リツキサン | B細胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、特発性血小板減少性紫斑病(慢性) |
CD20 | オビヌツズマブ | ガザイバ | 濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病 |
CD38 | ダラツムマブ | ダラキューロ | 多発性骨髄腫 |
CD38 | イサツキシマブ | サークリサ | 多発性骨髄腫RR |
CCR4 | モガムリズマブ | ポテリジオ | 成人T細胞性白血病リンパ腫、末梢性T細胞性リンパ腫RR、皮膚T細胞性リンパ腫RR |
SLAMF7 | エロツズマブ | エムプリシティ | 多発性骨髄腫RR |
ダラキューロのみ皮下注射、他は点滴での投与となります。
(I-2) 免疫チェックポイント阻害薬
本来免疫細胞(Tリンパ球)には腫瘍細胞を攻撃する力がありますが、腫瘍細胞はこの攻撃から逃げようとして、Tリンパ球の免疫反応活性化を抑える力を獲得することがあります。これにはある分子(Tリンパ球のPD-1と腫瘍細胞のPD-L1)を介した腫瘍細胞と免疫細胞の相互作用が関わっており、この相互作用を阻止するように働く抗体薬が、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれます。Tリンパ球の免疫反応を抑える仕組みは元々生体に必要な機能として備わっており、免疫チェックポイントと呼ばれます。
標的 | 薬剤名(一般名) | 薬剤名(商品名) | この薬が使える疾患 |
PD-1 | ニボルマブ | オプジーボ | ホジキンリンパ腫RR |
PD-1 | ペムブロリズマブ | キイトルーダ | ホジキンリンパ腫RR、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫RR |
(I-3) BiTE(バイト;二重特異性T細胞誘導)抗体
自身の免疫細胞(Tリンパ球)と腫瘍細胞の両方に結合し、Tリンパ球と腫瘍細胞の橋渡しをすることで、Tリンパ球による免疫作用が腫瘍細胞に作用します。Tリンパ球のもつアンテナと腫瘍細胞のもつアンテナの両方に結合できる構造を持った抗体薬です。
薬の投与によってTリンパ球が活性化し、体内反応が活発になることで、発熱や頭痛、血圧低下などの症状が現れることがあります。これはサイトカインと呼ばれる体内物質を介することから、サイトカイン放出症候群と呼ばれます。サイトカイン放出症候群は投与を開始して早期に現れることが多く、反応をできるだけ抑えるために投与前にステロイドの投薬をします。また、Tリンパ球の活性化に関連して神経症状が現れることがあります。いつもと言っていることが違う、様子が違う、手足が震える、などの症状があり、こちらは投与を開始して1週間前後が多く、投与を減量・中断し、ステロイドの投薬などで対応することで多くが改善します。サイトカイン放出症候群、神経症状とも、発生は最初の1コース目が最も多く、初回投与は最も注意が必要と言えます。
標的 | 薬剤名(一般名) | 薬剤名(商品名) | この薬が使える疾患 |
CD19, CD3 | ブリナツモマブ | ビーリンサイト | B細胞性急性リンパ性白血病RR |
CD20, CD3 | エプコリタマブ | エプキンリ | 大細胞型リンパ腫RR、濾胞性リンパ腫RR |
ビーリンサイトは点滴投与ですが、4週間毎日連続の点滴となります。エプキンリは皮下注射です。
(I-4) 抗体薬物複合体
モノクローナル抗体と殺細胞性抗がん剤が合体したものです。モノクローナル抗体の持つがん細胞特異性・治療効果に、殺細胞性抗がん剤の治療効果が上乗せされます。(I-1)のモノクローナル抗体と同様、アレルギー反応を予防するために投与前にアレルギー予防のお薬を使います。抗がん剤も含みますので、骨髄抑制にも注意が必要です。イノツズマブ オゾガマイシン、ゲムツズマブ オゾガマイシンは肝類洞閉塞症候群と呼ばれる特殊な肝障害に注意が必要です。ブレンツキシマブ ベドチン、ポラツズマブ ベドチンは手足の痺れに注意が必要です。その他頻度がそこまで高いわけではありませんが、特殊な薬剤ではありますので、さまざまな注意点があります。
標的 | 薬剤名(一般名) | 薬剤名(商品名) | この薬が使える疾患 |
CD22 | イノツズマブ オゾガマイシン | ベスポンサ | B細胞性急性リンパ性白血病RR |
CD30 | ブレンツキシマブ ベドチン | アドセトリス | ホジキンリンパ腫、末梢性T細胞性リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫RR |
CD79b | ポラツズマブ ベドチン | ポライビー | びまん性大細胞型リンパ腫 |
CD33 | ゲムツズマブ オゾガマイシン | マイロターグ | 急性骨髄性白血病RR |
いずれも点滴での投与となります。
(I-5) 放射線同位元素標識抗体
モノクローナル抗体に放射性物質を結合し、がん細胞選択的に放射線療法が働くイメージです。薬剤投与が適切か判断するための検査用薬剤を投与した上で、治療薬を投与するか最終判断されます。造血機能が低下している患者さん、骨髄のリンパ腫細胞が多い場合は、高度な骨髄抑制が長引くリスクがあるため投与は推奨されません。
標的 | 薬剤名(一般名) | 薬剤名(商品名) | この薬が使える疾患 |
CD20 | イブリツモマブ チウキセタン | ゼヴァリン | 低悪性度B細胞リンパ腫RR、マントル細胞性リンパ腫RR |
II. 小分子化合物
薬剤名(一般名) | 薬剤名(商品名) | この薬が使える疾患 | |
BCR/ABL阻害薬 | イマチニブ | グリベック | 慢性骨髄性白血病 |
ニロチニブ | タシグナ | 慢性骨髄性白血病 | |
ダサチニブ | スプリセル | 慢性骨髄性白血病 | |
ボスチニブ | ボシュリフ | 慢性骨髄性白血病 | |
ポナチニブ | アイクルシグ | 慢性骨髄性白血病RR | |
アシミニブ | セムブリックス | 慢性骨髄性白血病RR | |
FLT3阻害薬 | ギルテリチニブ | ゾスパタ | FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病RR |
キザルチニブ | ヴァンフリタ | FLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病 | |
プロテアソーム阻害薬 | ボルテゾミブ | ベルケイド | 多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ALアミロイドーシス |
カルフィルゾミブ | カイプロリス | 多発性骨髄腫RR | |
イキサゾミブ | ニンラーロ | 多発性骨髄腫RR | |
BTK阻害薬 | イブルチニブ | イムブルビカ | 慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫 |
チラブルチニブ | ベレキシブル | 中枢神経原発リンパ腫RR、リンパ形質細胞性リンパ腫 | |
アカラブルチニブ | カルケンス | 慢性リンパ性白血病 | |
EZH2阻害薬 | タゼメトスタット | タズベリク | 濾胞性リンパ腫(EZH2陽性)RR |
バレメトスタット | エザルミア | 成人T細胞性白血病リンパ腫RR | |
JAK阻害薬 | ルキソリチニブ | ジャカビ | 骨髄線維症、真性多血症 |
上記のうちボルテゾミブは皮下注射、カルフィルゾミブは点滴での投与、他は全て内服薬となります。
III. レチノイド
薬剤名(一般名) | 薬剤名(商品名) | |
トレチノイン | ベサノイド | 急性前骨髄性白血病の1つの型である急性前骨髄球性白血病で、増加している腫瘍細胞の成長を促すことにより、異常増殖を解消します。 |
タミバロテン | アムノレイク |
ベキサロテン | タルグレチン | 皮膚T細胞性リンパ腫 |
トレチノインは内服薬で、急性前骨髄性白血病の治療には欠かせません。
IⅤ. ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬;HDAC阻害薬
HDACという異常に活性化している酵素の活性を抑えます。
薬剤名(一般名) | 薬剤名(商品名) | この薬が使える疾患 |
ボリノスタット | ゾリンザ | 皮膚T細胞性リンパ腫 |
ロミデプシン | イストダックス | 末梢性T細胞リンパ腫RR |
ツシジノスタット | ハイヤスタ | 末梢性T細胞リンパ腫RR、成人T細胞性白血病リンパ腫RR |
その他
I. 免疫調整薬
レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイドがこのグループに該当します。サリドマイドは過去1960年頃に睡眠薬として広く使われ、妊娠中の女性が内服したことによりお腹の赤ちゃんに奇形などの障害をもたらしてしまったという過去があります。その後、当時はまだ治療薬がほとんどなかった多発性骨髄腫に効くという事実が明らかとなり、厳格な薬剤管理体制が敷かれた上で世界的に治療薬として使われるようになりました。レナリドミド、ポマリドミドは、サリドマイドの誘導体として開発された、サリドマイドのきょうだいのようなお薬です。優れた効果を持っていますが、こちらもサリドマイド同様、しっかりとした管理体制で用いる必要があります。
免疫調整薬の効果は、免疫細胞を経由したり、細かな腫瘍血管を経由したり、いろいろな作用機序が関わっているようですが、全ては解明されていません。きちんと管理することで大きな負担なく効果が得られることが多いですが、主に白血球や血小板の減少、皮膚の発疹、血栓傾向、手足の痺れに注意する必要があります。レナリドミド、ポマリドミドによる治療の時は、血液をサラサラにする薬を予防的に内服します。
レナリドミドは多発性骨髄腫だけでなく、濾胞性リンパ腫をはじめとした一部のリンパ腫、特定のタイプの骨髄異形成症候群にも効果があります。サリドマイドは多発性骨髄腫の類縁疾患であるPOEMS症候群にも使われます。いずれも内服薬です。
薬剤名(一般名) | 薬剤名(商品名) | この薬が使える疾患 |
レナリドミド | レブラミド | 多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫RR、辺縁帯リンパ腫RR、5番染色体長腕欠失を伴う骨髄異形成症候群、成人T細胞性白血病リンパ腫RR |
ポマリドミド | ポマリスト | 多発性骨髄腫RR |
サリドマイド | サレド | 多発性骨髄腫RR、POEMS症候群 |
II. 免疫療法;CAR-T(カーティー)細胞療法
正式名称:キメラ抗原受容体T細胞療法 (Chimeric Antigen Receptor T-cell therapy, CAR-T cell therapy)
腫瘍細胞を攻撃するよう仕向けた自身の免疫細胞(Tリンパ球)を使った治療です。患者さん自身のリンパ球を血液から取り出し、遺伝子改変を加えます。このような処理をされたリンパ球は、腫瘍細胞のもつアンテナを認識し攻撃するようになります。改変したリンパ球を“兵”として細胞増殖させ体内に戻すと、免疫作用で治療効果が発揮されます。
(I-3)のBiTE抗体と同様、Tリンパ球の活性化に関連したサイトカイン放出症候群、神経症状には最大限の注意が必要と言えます。強い免疫抑制を起こしますので、感染症にも注意が必要です。半分以上の患者さんで何らかの強い副作用が見られ、万全の治療計画が必要ですが、使える治療薬をほとんど使った上で再発してしまったような難治例でも効果が見られており、期待できる治療の1つです。
Bリンパ球の腫瘍(B細胞性急性リンパ性白血病、B細胞性リンパ腫)、形質細胞の腫瘍(多発性骨髄腫)において、国内では下記の製剤が使用可能となっています。治療できる施設は全国的にも限られていますので、ご注意ください。患者さん自身のリンパ球を血液から回収し、製造施設で処理を加えますので、製剤の準備ができるのは2ヶ月ほどの期間を要します。
残念ながら、骨髄性腫瘍(急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群)、Tリンパ球の腫瘍に対するCAR-T細胞療法は技術的に難しく、治療法として確立されていません。骨髄性腫瘍は、腫瘍細胞のもつアンテナがBリンパ球の腫瘍ほど均一ではなく、標的を設定することが難しいのが1つの理由です。Tリンパ球の腫瘍においては、“兵”としてのリンパ球が腫瘍と同じTリンパ球であるため、“兵”が腫瘍細胞ではなく兵隊細胞を攻撃するという“共食い”が起こりえます。とはいえ国外で改良と研究が重ねられていますので、造血幹細胞移植に代わる治療として実現することが期待されます。
製剤名(一般名) | 製剤名(商品名) | この薬が使える疾患 |
チサゲンレクルユーセル | キムリア | B細胞性急性リンパ性白血病RR、びまん性大細胞型リンパ腫RR、濾胞性リンパ腫RR |
アキシカブタゲンシロルユーセル | イエスカルタ | びまん性大細胞型リンパ腫RR、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫RR、形質転換した濾胞性リンパ腫RR、高悪性度B細胞リンパ腫RR |
リソカブタゲンマラルユーセル | ブレヤンジ | びまん性大細胞型リンパ腫RR、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫RR、形質転換した低悪性度非ホジキンリンパ腫RR、高悪性度B細胞リンパ腫RR、グレード3bの濾胞性リンパ腫RR |
イデカブタゲン ビクルユーセル | アベクマ | 多発性骨髄腫RR |
シルタカブタゲンオートルユーセル | カービクティ | 多発性骨髄腫RR |
ホルモン療法薬
血液腫瘍では使われません。乳癌、前立腺癌など、ホルモンが腫瘍に影響する腫瘍において有効です。
ステロイド(抗がん剤ではありませんが)
ステロイドは抗がん剤ではなく、元々副腎皮質という臓器で分泌されているホルモンです。ステロイドは体内でさまざまな機能を担っており、その1つに炎症に対抗する働きがあります。体内分泌量をはるかに上回る量を薬として使用することで、リンパ性・形質細胞性の腫瘍を抑える働きがあります。ステロイド剤には複数の種類がありますが、血液腫瘍ではプレドニゾロン、デキサメサゾンが使われます。