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多血症(赤血球が多い)

多血症とは

貧血の逆の状態で、赤血球数やヘモグロビン値が高く、“血が濃い”状態を意味します。多血の基準は男女差があり、ヘモグロビンまたはヘマトクリットという検査値で見ます。ヘマトクリットはあまり耳慣れない言葉と思いますが、血液全体のうち赤血球が占める割合です。

  ヘモグロビン ヘマトクリット
男性 16.5g/dl以上 49%以上
女性 16.0g/dl以上 48%以上
多血症の問題点

“血が濃い”というのは、“血液がサラサラ”の逆で、乱暴な言い方になりますが、“血液がドロドロ”ということになります。したがって、多血が強い場合は通常の状態よりも血が固まりやすく、血栓症のリスクが高くなります。血栓症というのは、血管内を流れている血液が小さな血塊を作り、体内の血管を詰まらせてしまうことです。詰まった先は血流が行き届かなくなり、組織のダメージを引き起こします。体の血管には動脈と静脈があり、血栓症も動脈血栓症と静脈血栓症に分けられますが、多血による血栓症は動脈血栓症です。脳梗塞、心筋梗塞が動脈血栓症に該当します。(※静脈血栓症には足の深部静脈血栓症、肺塞栓などが該当します)

多血の重症度は特に決まった分類はありません。私見としては、ヘマトクリット54〜55%以上は血栓リスクを意識する必要があると考えます。

原因

多血症は、造血そのものに原因がある真性多血症と、造血以外に原因がある二次性多血症に分けられます。真性多血症と二次性多血症では対処法が大きく異なりますので、まずはどちらに該当するかを判断することが大切です。この判断には、赤血球産生に関わるホルモン値を測定するのが有効です。このホルモンはエリスロポエチンという名前で、二次性多血症の場合は高め、真性多血症の場合は低めとなっています。多血症のときは保険診療で検査できます。

二次性多血症

二次性多血症が起こる理由には、3つのパターンがあります。

(1) 体内水分量の不足により血液が濃くなる(相対的多血症)

日常的に水分摂取量が少ない、利尿作用のある薬(利尿剤、SGLT2阻害薬)の内服

※健診の採血では、当日朝から食事と共に飲水も控えられる傾向にあるため、多血が比較的出やすい印象です。

(2) 体内に隠れた酸欠状態がある

喫煙(紙巻タバコ)、睡眠時無呼吸症候群(夜寝ている間に酸欠状態となる)、肺気腫(肺で酸素を取り込む効率が落ちる)、心室中隔欠損症(心臓の壁に開いた穴により、酸素の多い動脈血が全身にうまく回らない)

(3) 何らかの理由でエリスロポエチンの分泌が増加している

腎動脈の狭窄、エリスロポエチンを分泌する腫瘍(腎臓癌、子宮癌など)

*これらのうち、睡眠時無呼吸症候群、肺気腫、心室中隔欠損症、腎動脈の狭窄、エリスロポエチン分泌腫瘍は、それぞれ検査で確認することは可能です。自覚症状や心当たりがないのにこれらの検査を全てお勧めするのは現実的ではないと思われ、多血の程度や症状を踏まえてご相談させていただきます。(当院では行っておりませんので他院に依頼となります)

*その他、ストレス、肥満、高血圧が多血症の原因となることがあります。

  勧められる初期検査
睡眠時無呼吸症候群 睡眠時無呼吸症候群の簡易検査
肺気腫 胸部CT、呼吸機能検査
心室中隔欠損症 心エコー
腎動脈の狭窄 腹部エコー
エリスロポエチン分泌腫瘍 腹部エコー、腹部造影CT

真性多血症

赤血球を造る骨髄で、造血の大元となる細胞に遺伝子異常が発生し、赤血球産生が促進されて過剰となってしまう病気です。特に症状なく自覚はないことが多いですが、時にだるさ、皮膚のかゆみ、お腹の張りや不快感(脾臓の増大による)、体重減少を伴うこともあります。

多血症の改善方法

治療法は多血症の原因次第となります。二次性多血症の場合は、原因となる病気に対する治療が主軸です。

いずれのタイプの多血症にしても、脱水傾向は血栓リスクを高めますので、日々十分な水分摂取をお勧めします。喫煙されている場合は禁煙、生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症)がある方はこちらのコントロール改善が勧められます。また、いずれのタイプにおいても多血が強い場合は瀉血(脱血治療)も候補となり得ます。

まとめ

多血症は進行すると血栓リスクに直結します。また、何かしらの健康上の問題が隠れているサインとなり得ます。

 

当院の診療方針
まずは二次性多血症なのか、真性多血症(まれ)なのかの評価をいたします。これにはエリスロポエチンというホルモンの測定が有用です。これが正常な場合は相対的多血症として、生活習慣の改善方法をご相談させていただきます。異常に高い場合、低い場合は、他の病気が隠れている可能性がありますので、追加検査をご相談させていただきます。
 

気になる方はお気軽にご相談ください。

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