フェリチンについて
体内の鉄量は3000〜5000mgと言われます。そのうち2/3は赤血球内のヘモグロビンと結合しており、酸素を運ぶのに使われます。残り1/3はフェリチンという蛋白と結合し、肝臓や脾臓に貯蔵鉄として蓄えられています。
体内で最も鉄が使われる場所は骨髄で、赤血球を造るのに使われます。その他、鉄は酸素を細胞エネルギーに変える役割を持っていますので、体の成長、神経の発達、ホルモン合成にも鉄が必要です。
血液検査でわかる鉄関連の数値
血液検査で調べられる鉄関連の数値は、血清鉄(鉄)、貯蔵鉄(フェリチン)の2つです。血清鉄は、体内の鉄のうちわずか0.1%を占める血清鉄を測定しています。フェリチンは、その実態は鉄そのものではなく、鉄を結合する蛋白質なのですが、貯蔵鉄の量をよく反映するため、貯蔵鉄の指標として使われています。
鉄不足の基準と判断
鉄不足は、一般的にフェリチン12 ng/mL未満が基準となります。しかしこれは絶対的な基準ではなく、性別や年齢、生活背景、自覚症状によりいくらか変動する可能性があります。鉄不足では血清鉄とフェリチン(貯蔵鉄)の両方が低下することが多いですが、フェリチンしか低下が見られないこともあります。血清鉄が正常でも、フェリチンの低下があれば鉄欠乏状態です。逆に血清鉄が低下していても、フェリチンが正常であれば、鉄不足とは見なされません(炎症や悪性疾患がない場合)。鉄不足が続いて赤血球の産生が低下し、貧血(ヘモグロビン=血色素量の低下)になっている状態を鉄欠乏性貧血と言います。鉄不足はあっても貧血にはなっていない場合は、いわゆる“隠れ貧血”、“貧血予備軍”と呼ばれることがあります。
鉄不足(隠れ貧血)の症状
鉄欠乏性貧血はゆっくり進むため、体が慣れてしまい無症状のことも多いですが、慢性的なだるさ、疲れやすさ、運動時の息切れ、頭痛、朝起きづらいなどの症状をきたすことがあります。人によっては、やたらに氷を食べたくなる、爪がもろくなる、脱毛などを自覚することもあります。鉄不足だけの“隠れ貧血”の症状はあまり知られていませんが、一部の方ではだるさ、疲れやすさをきたす可能性もある印象です。
鉄不足が問題視される診療分野
当院では専門外となりますが、以下の診療分野において鉄不足が問題視されることがあります。このような状況では、鉄不足の判断基準が異なることがあります。
- 小児…精神運動や認知の変化
- 精神…うつ傾向
- 神経…むずむず足症候群
鉄過剰症について
このように生体には必要不可欠な鉄ですが、体内の鉄が過剰になってしまうと細胞に有毒となります(目安としてフェリチン400〜500 ng/mL以上)。通常、細胞内の鉄が過剰とならないようフェリチン蛋白がうまく調節していますが、以下のような状況では鉄過剰症を引き起こすことがあります。
- 鉄のサプリメントや鉄剤の過量内服
- 頻回の輸血
- 血液疾患(骨髄異形成症候群など)
- 慢性肝疾患
- 炎症性疾患(膠原病など)、悪性疾患
- ヘモクロマトーシス(遺伝性の病気、まれ)
鉄不足の方がサプリメントを長期摂取して鉄過剰となる可能性は極めて低いですが、元々鉄不足のない方が摂取している場合は注意しましょう。
※当院では血清鉄、フェリチンの自費検査を行っております。
まとめ
鉄不足はフェリチンの数値で判断する。
鉄不足とはフェリチン12 ng/mL未満。(ただし状況により変動することがある)
鉄過剰に注意(問題となるのはフェリチン400〜500 ng/mL以上)。
